
シーズ紹介
バイオフィルム抑制型抗菌性Ti-20%Ag合金を用いた歯科インプラントの開発
歯科インプラント治療の予後不良は、バイオフィルム感染症を原因としたインプラント周囲炎が最も多い。バイオフィルム感染を防ぐためには、徹底したプラークコントロールと、歯科医師による定期的なメンテナンスしか現状では手段がない。そこで、我々の開発した抗菌性Ti-20%Ag合金を応用し、インプラント材料サイドからバイオフィルム感染症を抑制する新しい発想により、世界初の感染防御機能を備えた歯科インプラントを開発する。なお、Ti-20%Ag合金の抗菌性は、バイオフィルムの形成抑制をターゲットにしたものであり、従来の殺菌や菌自体の抑制を目的とした抗菌性とは異なり、生体組織に極めて安全でマイルドな抗菌機能である。

開発責任者
東北大学大学院歯学研究科
歯科生体材料学分野
高橋 正敏 助教
【研究概要】
対象:欠損歯
抗菌性Ti-20%Ag合金(図1)を用いた歯科インプラントの治験実施を目指し、以下の試験により非臨床POCを取得する。
- 鋳造および切削加工により、Ti-20%Ag合金が用途に応じた歯科インプラントの臨床形態に成形加工できることを確認する。
- 加工したインプラント形状のTi-20%Ag合金をイヌの顎骨に埋入し、組織観察と結合強度試験を行い、硬組織とオッセオインテグレーションし、歯科インプラントとして機能するに足る十分な結合強度が得られることを確認する。
- 医療機器クラスⅢの規格に準じた安全性試験を行い、規格を満たしていることを確認する。
- ヒトから採取した口腔内細菌叢に対するバイオフィルム形成抑制試験を行い、Ti-20%Ag合金のバイオフィルム形成抑制能が口腔内細菌叢に有効であることを確認する。
図1:チタン銀合金のバイオフィルム形成抑制能
【用語説明】
- バイオフィルム:
- 歯垢や水周りのヌメリのような微生物により形成される構造体。基質に対して強固に付着する。
- オッセオインテグレーション:
- チタンと骨が結合組織を介在することなく光学顕微鏡のレベルで直接的に結合した状態。
【研究の実施計画】
【企業連携の状況・希望する企業連携の内容】
株式会社ジーシーを連携企業とし、共同研究中である。
【共同研究者】
高田 雄京 准教授(東北大学大学院歯学研究科・歯科生体材料学分野)
佐々木 啓一 教授(東北大学大学院歯学研究科・口腔システム補綴学分野)
【お問い合わせ】
お問い合わせは「開発推進部門」までお願いいたします。
開発推進部門 : 【E-mail】 review*crieto.hosp.tohoku.ac.jp (*を@に変更してください)