
シーズ紹介
新規脳梗塞急性期治療薬の開発
脳梗塞急性期の治療法は、発症後の経過時間による使用制限や副作用リスクの点から限定的であり、多くの患者に適応できる有効な治療法は確立できていない。新規低分子化合物TMS-007は、血栓溶解促進作用に加えて抗酸化作用や抗炎症作用に由来する脳保護作用を併せもち、これらの問題を解決し得る新薬候補である。本剤を早期に実用化することが目的である。

開発責任者
東北大学大学院医学系研究科・医学部
神経外科学分野
冨永 悌二 教授
【研究概要】
対象:脳梗塞急性期
TMS-007はプラスミノーゲンの活性化(血栓溶解酵素プラスミンへの変換)を促進し、血栓溶解を活性化する。また、細胞内においてTMS-007は可溶性エポキシドハイドロラーゼを阻害し、抗炎症活性・組織保護作用を示す。TMS-007はこれら2つのメカニズムを併せ持つことにより、優れた脳梗塞治療効果を示す(図1)。さらに、SMTP化合物は、抗凝固薬ワーファリンを投与したマウスに脳梗塞を惹起した易出血性脳梗塞モデルにおいて、死亡率・神経欠損症状を有意に改善し、出血性変化を有意に抑制する。このように、TMS-007は現在の治療法が利用できない患者を救える脳梗塞急性期治療薬として期待される。本剤の早期実用化に向けて、臨床での安全性・有効性の検証を進めていく。
図1:TMS-007の特徴
【用語説明】
- 可溶性エポキシドハイドロラーゼ:
- 抗炎症活性をもつアラキドン酸エポキシドを加水分解する酵素。本酵素の阻害によって組織のアラキドン酸エポキシドレベルが増加し、局所での炎症が抑制される。
【研究の実施計画】
【企業連携の状況・希望する企業連携の内容】
共同開発、ライセンスアウト
【共同研究者】
蓮見 惠司 教授
(東京農工大学大学院農学研究院 / 株式会社ティムス代表取締役(兼業))
新妻 邦泰 助教(東北大学大学院医学系研究科 神経外科学分野)
【お問い合わせ】
お問い合わせは「開発推進部門」までお願いいたします。
開発推進部門 : 【E-mail】 review*crieto.hosp.tohoku.ac.jp (*を@に変更してください)