東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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歯周病科 庄司 茂講師らのグループが世界初、歯科慢性疼痛改善可能な側枝検出治療装置 電気的根管長測定器「ジャスティⅣ」を開発しました

【概要】
東北大学病院歯周病科 庄司茂講師らのグループは、世界で初めて歯科慢性疼痛(注1)の主原因である側枝(注2)を一般臨床で検出・明示することが可能となる電気的根管長測定器「ジャスティⅣ」を開発しました。本装置は、2022年9月5日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)により医療機器として承認されました。本装置により、これまで検出が困難であった側枝の直接治療が可能となります。
 
【詳細】
歯が痛むため、歯科医院で歯の神経(歯髄:注3)の治療を受けたにもかかわらず、痛みや違和感が残る(歯科慢性疼痛)ことがあり、痛みに悩まされている多くの患者が大学病院に紹介されて来院しています。この痛みの主原因の多くは、歯の根の神経が枝分かれした側枝と呼ばれる部位にある炎症性歯髄ですが、一般の歯科X線写真では検出が難しく、歯科用コンビームCT(注4)でも容易には検出できないため直接治療することが難しいという課題がありました。
 
東北大学病院歯周病科の庄司茂(しょうじ しげる)講師らのグループは、これまでの一般的歯科用X線写真では見出すことが困難であった側枝を治療中に検出し、適切に治療できる電気的根管長測定器を開発する事を目的として研究開発を行いました。
 
研究グループは、電気的根管長測定器(注5)の電流変化を観察することで、側枝を見出すことを考え、人工側枝を有する根管模型を使って基礎実験を行いました。その結果、側枝手前で電流値が急に上昇し、側枝の位置で極大値を示した後に下降することを発見しました。このことから、極大値の位置を明示すれば、側枝の検出と直接治療が可能であることが解りました。さらに、この装置を用いた臨床研究を行い、患者の痛みや違和感が消失することを実証しました。本装置について、医療機器としての申請を行い、令和4年9月5日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構により承認を受けました。
 
本研究によって側枝検出が容易にできることが解明されたことで、今後、歯内治療後の痛みを訴える患者が減少し、更には新しい治療法の開発がさらに進むことが期待されます。
 
本装置の開発は、東北大学病院臨床研究推進センターが支援を行いました。
 
【用語説明】
注1.歯科慢性疼痛:歯の神経を治療しても痛みや違和感が続く)
注2.側枝:歯の神経が途中で枝分かれしたもの
注3.歯髄:歯の神経と一般に言われている歯の根の中にある神経や血管が存在する根管内組織
注4.歯科用コンビームCT:歯の周辺をより詳細に撮像する装置
注5.電気的根管長測定器:通常は根尖孔を電流の変化で検出する装置
 

図1. 歯の解剖図

図1. 歯の解剖図

 

図2. 電気的根管長測定器表示部

図2. 電気的根管長測定器表示部


 

【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学病院歯周病科
 講師   庄司 茂
Eメール: shoji@dent.tohoku.ac.jp
 
(取材に関すること)
東北大学病院広報室
電話番号: 022-717-7149
FAX番号: 022-717-8931
Eメール:  press@pr.med.tohoku.ac.jp

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