東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

フォントサイズ変更

超音波の血管新生作用発見 -医師主導治験実施へ

 東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授(東北大学病院臨床研究推進センター センター長)、東北大学大学院工学研究科金井浩教授、長谷川英之准教授、および日立アロカメディカル株式会社の研究グループは、ある特殊な条件の超音波に血管新生作用があることを発見し、この研究成果を基に狭心症患者を対象とした超音波治療の医師主導治験を開始しました。約15年前から下川教授らは狭心症の虚血組織における血管新生を誘導する低出力体外衝撃波治療を開発・臨床応用を進めてきました。この低出力体外衝撃波治療は、2010年には厚生労働省から先進医療として承認を得ています。しかし、衝撃波は空気の層では膨張する性質があるので、組織障害の可能性を避けるために、空気で満たされた肺に当たらないよう注意深い操作が必要でした。また、衝撃波発生装置の他に、照射位置を確認するための診断用超音波装置も必要なため、治療装置の小型化には限界がありました。そこで下川教授らは、40年以上前から心エコー検査や腹部エコー検査など世界中で使われており、その安全性も確立している超音波に着目し、超音波にも血管新生作用がないか検討を行った結果、ある特殊な条件の超音波にも血管新生作用があることを発見しました。本治療法は、診断で用いられる出力範囲の超音波を用いた低侵襲性治療であり、今後の発展が期待できる新しい治療法です(図1)。

 本研究の成果は、2011~2013年の米国心臓協会学術集会での発表を経て、2014年8月11日付で国際誌PLOS ONEに掲載されました。

 本プロジェクトは、当センターが支援する「シーズC」の一つです。

 

特殊な条件の超音波を心臓に照射すると、虚血領域の心筋で血管新生が促進される。

図1 治療の概念図:特殊な条件の超音波を心臓に照射すると、虚血領域の心筋で血管新生が促進される。

 

 

記者会見する下川宏明教授(右)と伊藤健太准教授(左)

記者会見する下川宏明教授(右)と伊藤健太准教授(左)

 

記者会見の様子

記者会見の様子


ページTOPへ戻ります