東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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株式会社三菱総合研究所 研究理事 シンクタンク部門副部門長 兼 政策・経済センター長 武田 洋子先生 講演会 「世界の潮流と日本の展望~失われた30年からの復活に向けて~」を開催しました

6月7日(水)18:00-19:00、今年度第2回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業) 株式会社三菱総合研究所 研究理事 シンクタンク部門副部門長 兼 政策・経済センター長 武田 洋子先生の講演会をハイブリッド形式にて開催いたしました。
 
今回の講演では、世界の潮流変化や日本経済への影響について展望し、日本経済が『失われた30年』から立ち直るために必要な要素や、今後の日本経済や企業・社会の進むべき方向についてご講演いただきました。
 
講演の前半では、歴史的転換点にある現在の世界潮流と日本社会の展望について解説されました。国際秩序の不安定化、サステナビリティの重視、ウィズコロナからポストコロナへの移行という3つの視点から、データをもとにそれぞれの要素を説明していただきました。国際社会の多極化、脱炭素と安全保障の両立、そして構造変化によるインフレ圧力といった方向性が世界を動かしていく中で、全てがネガティブな影響ではないということを示されました。日本としても、賃金上昇の兆しや脱炭素関連への企業の設備投資の積極化、経済活動の正常化など、前向きな動きが見られます。しかし、これらを本質的な意味での好転に変えていけるかが重要な課題であると述べられました。
 
後半では、過去30年の振り返りを通じて、「失われた30年」からの立ち直りに向けて何をすべきか問いかけられました。過去30年で日本の経済力や国際競争力のランキングが低下し、失われた30年は、低賃金・低インフレ、低成長・低生産性、そして財政悪化という悪循環が生じている構図となっていたことを示されました。しかし、今ではこの状況が変わろうとしており、前向きな動きも見られます。具体的なポイントとして、賃金と物価の安定的な上昇、生産性の向上、財政の持続性確保が挙げられました。生産性上昇のためには、組織内での人材の多様化やスタートアップとの連携を通じて、「知の結合」と「知の深化」によるイノベーションを生み出すことが重要だと話されました。また、財政の持続性確保には、歳出で大きな割合を占めている社会保障関連費の改革が必要であり、給付と負担のバランスを是正するための議論が求められると話されました。
 
最後に、『失われた40年』とはさせないという決意をもって、『失われた30年』からの復活につなげてほしいとまとめられました。自身の学びや仕事に関わる部分を見つけ、今後の日本をどのように進めていくべきかを共に考えることが求められています。
 
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外572名の方々にお申込みいただきました。
武田先生、ご講演ありがとうございました。
 
文責:元インターン 岩本 空(所属:工学研究科)
 
20230215
 
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