
活動報告
株式会社三菱総合研究所 常務研究理事 武田 洋子先生講演会「世界・日本経済の展望~転換期の日本の進路とアカデミアの役割~」を開催しました
7月8日(水)18:00-19:00、今年度第3回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)株式会社三菱総合研究所 常務研究理事 武田 洋子先生の講演会をハイブリッド形式にて開催いたしました。
今回の講演では、世界が大きな転換点を迎える中、変化する社会課題をどう捉え、日本の未来につながる価値へ転換していくのか、そして新たな時代に求められる人材像やアカデミアの役割について、武田先生独自の視点で解説いただきました。
現在、世界は「国際秩序の変化」「AIをはじめとする技術革新」「資源・エネルギーの競争激化」という3つの地殻変動による歴史的な転換期を迎えており、その結果として、世界全体で保護主義的かつ自国中心主義的な政策が続く見通しとなっています。米国の相対的な優位性が揺らぐ一方で中国が大国としての基盤を固めていることや、AIの急速な進化に伴う覇権争い、資源・エネルギー支配の競争激化など、様々なリスクが複合化している現状が解説されました。
世界的な転換期を迎えている現状において、今後の日本の進路として3つの指針が示されました。1つ目は、「国際情勢変化への適応」です。かつてのオイルショックを乗り越えた適応力を活かし、サプライチェーンの強靭化や重層的な対外協調関係の構築を通じて経済の自律性を高めていく重要性が指摘されました。2つ目は、「潜在成長力の向上」です。政府の成長戦略を土台として企業が競争力を向上させていくことや、人口減少による労働力不足をAIの活用によって補うとともにAIとの共創で新たな付加価値を生んでいくことなどが提言されました。3つ目は、「持続可能性」です。強い経済のために市場の財政や通貨円への信認を維持すること、そしてデータセキュリティを担保したDXの推進が急務であると説明されました。
このような変革期において、アカデミアが果たすべき役割は「学び、挑戦、共創を支える環境であること」だと強調されました。AIの急速な進化により答えを得ることの価値が低下する今、学び続ける文化こそが人類の進化を支えるからです。それに加え、次世代の優秀な人材を育成するためには、未来を信頼し、長期的な挑戦ができる土台を整えることも不可欠とのお話がありました。
講演の最後には、世界が不安定だからこそ日本に対する信頼は高まっていること、また、中東情勢によるエネルギー制約も国内の産業構造や自律性を高める機会であること、さらに、人口減という課題もAIやフィジカルAIで克服可能であるとした上で、ピンチは変革のチャンスであるという前向きなメッセージで締めくくられました。
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外416名の方々にご参加いただきました。
武田先生、ご講演いただきありがとうございました。


文責:歯学研究科 博士課程2年 野中 優希
