東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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日清食品ホールディングス株式会社 執行役員 フューチャーフード担当 後野 和弘先生講演会「食による医療課題への挑戦 ― 先端技術による食のイノベーション」を開催しました

6月17日(水)18:00-19:00、今年度第2回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)日清食品ホールディングス株式会社 執行役員 フューチャーフード担当 後野 和弘先生の講演会をオンラインにて開催いたしました。
 
今回の講演では、日清食品の完全栄養食ブランド「完全メシ」を題材に、食を通じた健康課題の解決と、それを支えるフードテクノロジーについてご講演いただきました。また、従来の予防医療における「行動変容」の限界を踏まえ、食習慣を大きく変えることなく健康増進を実現する新たなアプローチについてもご紹介いただきました。
 
はじめに、「完全メシ」を支える技術として、美味しさと栄養バランスを両立するための独自のフードテックについて説明いただきました。減塩技術では、世界中から収集した170種類以上の塩を分析し、同じ塩分量でもより強く塩味を感じられる塩を活用することで、塩分を抑えながら満足感のある味を実現していることが紹介されました。また、高温の熱風による短時間加熱と微量の油の噴霧を組み合わせることで、とんかつなどの揚げ物において風味や食感を維持しながら脂質を大幅に削減する技術についても説明いただきました。さらに、ミネラルなどの栄養素に由来する苦味やえぐ味を感じさせない「アドバンス・マスキング技術」や、栄養素の経時変化を考慮して賞味期限内でも必要な栄養価を維持できるよう設計する品質管理手法についても紹介されました。
 
続いて、完全メシの健康効果を検証するために実施された臨床試験の結果についてご紹介いただきました。糖尿病や高血圧の患者を対象とした試験では、1日1食を完全メシに置き換えることで、各種健康指標に統計学的に有意な改善が確認されたことが示されました。また、高齢者を対象とした試験では、歩行速度や認知機能の向上が確認されたほか、ストレスや疲労感、睡眠の質の改善、さらにはDNA年齢の若返りを示唆する結果も得られているとの説明がありました。加えて、月経前症候群(PMS)に伴う不快症状の軽減など、多様な健康課題への効果についても紹介されました。
 
さらに、従来の健康指導が生活習慣の改善を個人に求める「行動変容」を前提としているのに対し、完全メシは「美味しいものを食べたい」という人間の自然な欲求を活かしながら健康改善を目指す取り組みであることが強調されました。現在では、カレーや麺類に加え、かつ丼、ピザ、ハンバーガー、アイスクリームなど幅広いメニューへの展開が進められており、健康的な食事を特別なものではなく日常の選択肢として提供することを目指しているとのことでした。
 
最後に、完全メシの技術を活用した社会課題への応用についてもご紹介いただきました。災害時の栄養不足対策や経済格差による栄養格差の解消など、幅広い社会的課題への貢献可能性が示されました。講演では、医療機器開発で培われたニーズ把握とエビデンス構築の考え方を食品開発に取り入れ、「食による医療課題の解決」を目指す取り組みについてお話しいただきました。
 
本講演会には、卓越大学院プログラム参加学生をはじめ、学内外から多くの方々が参加し、食と健康、そして社会課題の解決をつなぐ新たな可能性について理解を深める機会となりました。
 
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外427名の方々にご参加いただきました。
後野先生、ご講演いただきありがとうございました。
 

 
文責:教育学研究科博士課程前期 1年 水賀美喜一

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