東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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スタンフォード大学 医学部 主任研究員 MedVenturePartners, Inc 取締役チーフメディカルオフィサー 池野 文昭先生講演会「シリコンバレーの最前線と日本の課題〜今なにを解決し、どこに向かうのか〜」を開催しました

5月21日(水)18:00-19:00、今年度第1回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)スタンフォード大学 医学部 主任研究員/MedVenturePartners,Inc 取締役チーフメディカルオフィサー 池野 文昭先生の講演会をオンラインにて開催いたしました。
 
今回の講演では、2025年に発足した第二次トランプ政権の影響を中心に、世界的な政治・経済の変動がシリコンバレーに及ぼす影響、日本の現状や展望についてお話いただきました。
 
講演ではまず、アメリカ社会の急激な変化について触れられました。トランプ政権の政策により、不法移民政策の転換、国際協調からの離脱、DEIプログラムの縮小などが進められています。また、サンフランシスコにおける治安悪化の問題も深刻化している現状が語られました。
 
さらに、医療や教育における規制緩和や予算削減の影響についても言及されました。NIHやFDAの政策変更が研究開発の現場に与えるインパクトは大きく、大学や企業も新たな対応を迫られています。こうした中、起業家や研究者は、政治的関与を避けることが難しくなっており、特に医療機器分野においては関税の影響が深刻であるとのことでした。
 
日本については、円安、高齢化の進行といった課題が指摘されました。一方で、円安を生かした国際連携の可能性や、技術・文化の強みを活かしたスタートアップ支援、AIによる熟練技術の可視化など、前向きな提案も示されました。さらに、地方の高い高齢化率は未来の日本であると捉え、課題解決の実践の場として活かすことで、世界の先取りができる可能性について語られました。特に「失敗を恐れない文化」の必要性と、若者とベテランの協働を促す“縦のダイバーシティ”の重要性が強調され、講演の最後には、「“for the patient” すべては患者さんのために」という言葉で締めくくられました。
 
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外641名の方々にご参加いただきました。
池野先生、ご講演ありがとうございました。
 

 
文責:歯学研究科 博士課程4年 小出 理絵

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