東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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東京海上ホールディングス株式会社 鍋嶋 美佳先生講演会 「成長戦略としてのダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進 ~多様な人材の力で変化する社会課題を解決し、サステナブルな社会の実現に貢献~ 」を開催しました

9月11日(水)18:00-19:00、今年度第5回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)東京海上ホールディングス株式会社 執行役員 グループサステナビリティ総括 鍋嶋 美佳先生の講演会をハイブリッド形式にて開催いたしました。
 
今回の講演では、未来の予測が困難なVUCAの時代において、企業が成長を続けていく上で”重要な成長戦略そのもの”となるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進について、またその中でも当面解決すべき優先課題である「ジェンダーギャップの解消」について、東京海上日動の取り組み事例を踏まえてお話いただきました。
 
DE&Iは、VUCAの時代において、企業の成長に不可欠な要素として重要視されています。多様な人材や価値観を活用することで、競争力の向上に繋がります。さらに、日本国内や海外のグループ企業のそれぞれの強みを活かした価値創造やシナジーの発揮、新たな人材の確保、社員の多様なスキルを活かした生産性の向上などの様々な側面で、DE&Iの推進がその中心的役割を果たすことで企業の持続的な成長につながります。
 
国内におけるDE&I推進の当面解決すべき重点課題は、「ジェンダーギャップの解消」です。東京海上日動を含めた金融業界では、女性の社員比率が大きいにもかかわらず、役員や管理職に就く割合は男性の比率が高い現状にあります。東京海上日動では、女性の従業員の割合が58%であるのに対して、役員を含めた管理職以上の女性社員の割合は27%に留まっています。
 
そこで、東京海上日動では、ジェンダーギャップの解消に向けて長年、取り組みを進めてきました。まずは「役割変革」として、人事制度の改定や業務革新プロジェクトを通したIT化やキャッシュレス化によって、多くの事務を担っていた女性社員の時間を創出し、「営業=男性」のような固定的な業務分担から脱却し、個々の適性に応じた役割分担へと変革を遂げています。次に「育児との”両立”支援から”活躍”支援」として、勤務地を限定しながらも一定範囲での転居転勤を可能にするワイドエリア型の導入や勤務時間選択制度や復職支援制度など、育児を支援する8つのパッケージを設けることで、ライフイベントに合わせた働き方の支援が進められています。最後に、「自律的なキャリア構築支援」として、テレワーク等の柔軟な働き方を支援する制度のほか、公募による社内起業や所属組織の業務外となるコーポレート部門のプロジェクトに参画できる社内副業の制度が整備されており、社員のマインドアップやキャリアアップを支援する施策や自主性を尊重した挑戦する場の整備が目指されています。
 
ジェンダーギャップ解消の「目指す姿」として「会社や組織のあらゆる意思決定の場に女性が当たり前に参画している状態」を定めています。具体的な目標としては、上記の取り組みを通して、管理職における女性社員比率30%の達成と同時にワークエンゲージメントの向上を目指しています。
 
この「目指す姿」の実現のためには、育てる側(マネージャー)と育つ側(女性社員)双方の意識・行動変革や企業風土の変革が課題として挙げられています。育てる側は3つのK(期待して、鍛えて、活躍する機会と場を与える)を徹底する必要があります。また育つ側の女性社員の意識変革のために、女性社員を対象とした研修や社内外のメンター制度が整備されています。そして、DE&Iの企業風土変革のために、経営層とのダイアローグやダイバーシティの様々な側面にフォーカスした取り組みなどを通して、ジェンダーだけではなく一人ひとりがユニークな存在として尊重される企業文化の醸成に取り組まれています。
 
鍋嶋先生は、DE&I推進上のポイントとして、「トップのコミットメント」、「取組み意義の浸透」、「トップダウンとボトムアップの取組み」の3つを挙げられています。社内に属する全ての人がDE&Iを「自分ごと」として考え、多様な社員の力を最大限活用することが、グループの持続的な成長と価値向上の実現につながる、と締めくくられました。
 
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外365名の方々にご参加いただきました。
鍋嶋先生、ご講演ありがとうございました。
 



 
文責:教育学研究科 博士課程前期 1年 三浦 直己

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