東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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ハイドロキシアパタイト厚膜形成による新規歯科治療システムの開発と臨床応用

 歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(HAP)粉体を高速噴射することで、歯質上にハイドロキシアパタイト厚膜形成するパウダージェットデポジション(PJD)法を開発した。本法を用いた室温大気圧環境下における成膜技術はオンリーワンの技術である。歯科臨床応用の第一段階として、変色歯に対して歯と同成分で非侵襲的に色調改善する手法を確立する。前臨床試験にて本法の安全性・有効性は検証済みであり、医師主導型の探索的治験を実施している。

佐々木 啓一 教授

開発責任者

東北大学大学院歯学研究科
口腔システム補綴学分野

佐々木 啓一 教授

【研究概要】

対象:変色歯

 変色歯に対して、PJD法によるHAP膜生成を行うことで、従来の方法の欠点である知覚過敏や歯質削除といった侵襲を歯に与えることがなく、色調改善することが期待できる。
歯質上に成膜されたHAP膜は均一で緊密であり、強固に歯質と接着しており(図1)、高い機械的強度を示している。前臨床試験により、本法の生体安全性や有効性は確認されている(倫理委員会承認番号:19医施-1)。PJD装置用ハンドピースは、現在歯科治療で使用されているサイズと同様まで改良されており、口腔外バキュームを併用しながら成膜対象歯にラバーダム防湿を行い、成膜処置を行う(図2)
使用するHAP粉体の構成を調節することで、様々な歯の色調改善の効果が期待できる(図3)。現在、歯学研究科にて医師主導型の探索的治験を実施している。

  • 図1:エナメル質とHAP膜界面のTEM像 x250,000
    図1:エナメル質とHAP膜界面のTEM像 x250,000
  • 図2:PJD装置用ハンドピースと口腔内へのHAP膜成膜
    図2:PJD装置用ハンドピースと口腔内へのHAP膜成膜
  • 図3:HAP膜による歯の色調改善
    図3:HAP膜による歯の色調改善

【研究の実施計画】

研究の実施計画

【企業連携の状況・希望する企業連携の内容】

現在、株式会社サンギからの受託研究費(JST A-STEP)を受け研究を進めており、PJD装置、HAP粉体の開発・改良を連携して行っている。

【共同研究者】

厨川 常元 教授(東北大学大学院工学研究科 ナノ加工学分野)

【お問い合わせ】

お問い合わせは「開発推進部門」までお願いいたします。

開発推進部門 : 【E-mail】 review*crieto.hosp.tohoku.ac.jp  (*を@に変更してください)

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