東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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リン酸オクタカルシウム(OCP)・コラーゲン複合体による骨再生治療

 「東北大」発の骨再生材料であるリン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体(OCP/Col:特許第5046511号)は既存骨代替材料の骨再生能を凌駕し、細胞や成長因子を補充しなくても有効な骨再生を実現する。動物実験での安全性・有効性確認後、成人の骨欠損での臨床研究(東北大学病院)で安全性・有効性の検証を行なっており、医療機器として市販化を目指している。

鎌倉 慎治 教授

開発責任者

東北大学大学院医工学研究科
骨再生医工学分野

鎌倉 慎治 教授

【研究概要】

対象:歯科・口腔外科、整形外科領域の骨欠損、開頭、開胸手術に伴う骨欠損

 提案する骨再生【※1】材料は、人工合成のリン酸オクタカルシウム(OCP)【※2】とブタ皮膚由来アテロコラーゲン(Col)との複合材料(OCP/Col)である。OCP/Col(9mmφ1mm厚スポンジ)は以下の特徴を持つ。

  • ①既存骨代替材料の骨再生能を凌駕
  • ②生体外から細胞や成長因子を補充しなくても単独で有効な骨再生を実現
  • ③吸収性に優れ、生理的な骨改造が期待できる
  • ④汎用性(賦形性・操作性)に優れ、使い勝手が良い
  • ⑤使用時に煩雑な操作や管理体制を必要とせず、費用対効果に優れる

 東北大学病院で成人の骨欠損(抜歯窩,嚢胞腔)を対象とした臨床研究(非治験、First-in-man、単群)を行い、安全性、有効性を検証した。今後、医療機器(骨再生材料)として歯科・口腔外科領域及び医科領域の様々な骨欠損への適用を想定し市販化を目指している。

  • 図1:OCP/Col作製による賦形性向上
    図1:OCP/Col作製による賦形性向上
  • 図2:OCP/Colの優位な骨再生能
    図2:OCP/Colの優位な骨再生能

【用語説明】

骨再生:
生体内の様々な骨欠損(本来骨であるべき部分が失われた状態)に骨組織を再び作ること。
リン酸オクタカルシウム(OCP):
臨床応用されている人工骨であるハイドロキシアパタイト(HA)やβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)と同様にリン酸カルシウムに分類される。人工合成OCPはHAやβ-TCPに比べ、優れた骨再生能を示す。しかしOCP単独では賦形性・操作性に乏しく臨床応用が困難なためコラーゲン(Col)と複合化することでそれらの欠点を克服した。
成長因子:
細胞の増殖や分化を促進するタンパク質。遺伝子操作等で得た特定の成長因子を注入することで骨再生を飛躍的に増強できることが知られている。
骨改造:
骨の新陳代謝。骨は常に骨を作る細胞(骨芽細胞)、骨を壊す細胞(破骨細胞)が協調して働くことで日々新しい骨に置換していく。
臨床研究:
人(患者)を対象にした治療を兼ねた医学研究で、疾患の治療等を目的とする。

【研究の実施計画】

研究の実施計画

【企業連携の状況・希望する企業連携の内容】

共同研究遂行中

【共同研究者】

鈴木 治 教授(東北大学大学院歯学研究科・顎口腔機能創建学分野)

高橋 哲 教授(東北大学大学院歯学研究科・顎顔面・口腔外科学分野)

松井 桂子 助教(東北大学大学院歯学研究科・顎顔面・口腔外科学分野)

川井 忠 助教(東北大学大学院歯学研究科・顎顔面・口腔外科学分野)

【お問い合わせ】

お問い合わせは「開発推進部門」までお願いいたします。

開発推進部門 : 【E-mail】 review*crieto.hosp.tohoku.ac.jp  (*を@に変更してください)

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