
シーズ紹介
国際展開を目指したAll Japan研究体制確立による胎児心電図POC試験
分娩を取り巻く状況は益々複雑になった。妊婦さんの高齢化などが拍車をかけ分娩時の危険性が益々増大している。母児の高度なモニタリングが益々重要になってきた。しかし、理想的なモニターである胎児心電図は信号が小さく周囲の大きな雑音に阻まれて実現不可能と言われている。
我々は母体体表での数μV レベルの生体電位測定技術開発に成功し、胎児心電図装置開発を世界に先駆けて行うことが出来た。医療機械の開発のみでは臨床の場で使える新規医療技術にならない。橋渡し研究の推進、標準値の設定、診断基準の確立が世界的な規模で必要である。現在、橋渡し研究を通し安全・安心な妊娠期間をすごすための新規モニタリングシステムの開発と治験・臨床応用、世界展開を目指し研究を進めている。

開発責任者
東北大学大学院医学系研究科・医学部
木村 芳孝 教授
【研究概要】
対象:妊婦及びその胎児
母体腹壁から計測される胎児心電位は数十μVから数μV と母体心電図(1000μV)の百分の1ときわめて小さい。また、母体筋電図などの周囲雑音(数十μVから数百μV)に埋もれており膨大な雑音から小さな信号を安定に抽出する新しい技術が必要である。しかし、この技術は、例えば、膨大な雑音の中、家の中で動く人の信号を壁のセンサーから調べることに匹敵しベッドサイドで使用可能な装置は開発されていなかった。(図1)
我々は5μV 以上の体表生体電位を計測する新たな信号処理技術の開発に産学官の共同開発とベッドサイドにおける医工学融合研究により成功し、機械を製作した。(図2、図3)
完成された胎児心電図装置により胎児と成人の違いなど今まで知られていなかった新しい事実が明らかになり、新しい診断基準が必要になった。現在、治験と新診断基準の確立に向けてシステム構築を進めている。
図1:胎児心電図開発の難しさ
図2:胎児心電図のベッドサイド開発
図3:胎児心電図の計測画面と計測例
【用語説明】
- 胎児心電図とは:
- お腹の中の赤ちゃん(胎児)の心電図のこと。
- 周産期死亡率とは:
- ここでは分娩前後の胎児の死亡率のこと。
【研究の実施計画】
【企業連携の状況・希望する企業連携の内容】
アトムメディカル株式会社と共同研究中
【お問い合わせ】
お問い合わせは「開発推進部門」までお願いいたします。
開発推進部門 : 【E-mail】 review*crieto.hosp.tohoku.ac.jp (*を@に変更してください)