東北大学病院臨床研究推進センター

Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital

東北大学病院臨床研究推進センターは、医学系の研究開発をサポートするとともに、基礎研究の成果を臨床の場に実用化する橋渡しをいたします。

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安全で高性能な膵島分離用酵素剤の開発

 本開発研究は、膵島移植をあらゆる細胞療法の雛形として、安全で高性能な細胞分離用酵素剤のProof of Concept (POC) を確立する事を第一義的な目標と定めている。そのため、開発中の新規酵素剤を臨床グレードに引き上げることを目的とし、GMP化・高性能化・テーラーメード化を可能とする諸技術の構築に取り組んでいる。開発酵素剤のPOC取得に際しては、効率よく臨床試験を進めていき、世界をリードする日本発の細胞分離酵素剤を確立することを目指している。

後藤 昌史 教授

開発責任者

東北大学
未来科学技術共同研究センター
後藤 昌史 教授

【研究概要】

対象:重症糖尿病

 これまでの膵島分離用酵素剤は、(1)ロット格差の存在、(2)成分組成比を操ることができない、(3)動物成分混入が不可欠 という大きな課題を有しており、膵島収量の不安定性、分離膵島の質の低下、分離膵島の安全性の低下がもたらされていた。本開発研究においては、これらの課題を一気に解決すべく、動物成分を完全に有しないサブタイプ別のリコンビナントコラゲナーゼの開発に着手している。このように高い付加価値を有する国産酵素剤を確立することは、今後の我が国の再生・細胞治療を推進していく上で極めて大きな意義を有していると考えられる。

  • 図1:プロジェクト概要
    図1:プロジェクト概要

【用語説明】

1型糖尿病患者:
膵島にあるインスリン分泌細胞が異常な自己免疫反応により次々に破壊され、インスリンが産生できなくなり発症する糖尿病であり、基本的にインスリンを投与しなければ生きていくことの出来ない患者である。主に15歳未満の若年者がかかる糖尿病であるが、近年は高齢者にも増えつつある。
膵島移植:
膵臓は外分泌組織と内分泌組織である膵島より構成されているが、特殊な酵素を使用し膵臓より膵島のみを分離し移植する方法が膵島移植である。全身麻酔や開腹手術を必要としないため膵臓移植に比べ低侵襲であり、患者にやさしい医療と言える。
インスリン:
血液中のブドウ糖(血糖)を細胞内にエネルギーとして取り込むためのホルモン。すい臓のランゲルハンス島にあるベータ細胞から分泌され、血糖値を上昇し過ぎないよう調節する役割を持つ。
β細胞:
膵島を構成する4種類の細胞の一種であり、インスリンの産生を行う。通常膵島細胞全体の約60-80%を占めると言われている。
ランゲルハンス島:
膵島とも呼ばれており、膵臓の中に島上に散在している内分泌組織のことである。膵臓には消化液である膵液を産生する外分泌と呼ばれる組織も存在する。膵島は膵臓全体の約1%を占めるに過ぎないが、人体の中で唯一血糖値を下げるホルモンであるインスリンを産生する、という大事な働きを担っているため、膵島が機能しなくなると致命的な状態を引き起こしてしまうわけである。
GMP:
Good Manufacturing Practiceの略語であり、安心して使うことができる品質の良い医薬品、医療用具などを供給するために、製造時の管理、遵守事項を定めたもの。
コラゲナーゼ:
生体のマトリックスを構成するコラーゲンを加水分解するタンパク質分解酵素の一つ。タンパク質分解酵素領域とコラーゲン結合領域からなっており、コラーゲン結合領域を失うと変性コラーゲン、即ちゼラチンのみを分解できるゼラチナーゼとなる。膵島など細胞の分散などによく用いられる。

【研究の実施計画】

研究の実施計画

【企業連携の状況・希望する企業連携の内容】

共同研究進行中

【お問い合わせ】

お問い合わせは「開発推進部門」までお願いいたします。

開発推進部門 : 【E-mail】 review*crieto.hosp.tohoku.ac.jp  (*を@に変更してください)

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